梓の回想から始まります。
原作の梓の過去が漫画で大幅にカットされているため、原作の補足も解説します。
柚子の進学に2話も使うなら、花梨と瑶太のようにオリジナルシーンを追加して梓の過去もしっかりと描いて欲しかったので本当に残念です。
不幸な花嫁
花嫁に選ばれる前の梓は幸せな少女でした。
親睦パーティーに参加できるほど裕福な社長令嬢で、優しく大好きな両親や弟妹。
異性から人気があり、同性からぶりっ子と嫌われていましたが幸せでした。
蛇塚の花嫁に選ばれるまで幸せだったため、蛇塚への憎しみを募らせます。
親睦パーティーで玲夜に一目惚れし、梓は親睦パーティーに沢山参加します。
しかし玲夜の花嫁になりたい夢は、蛇塚の花嫁に選ばれて終わります。
両親は資金援助欲しさから梓に黙ったまま、勝手に蛇塚と婚約させました。
蛇塚家も借金のある実家に縁談持って行ったらこうなるってわからなかったの?
このせいで梓からは両親を買収した卑怯なあやかしと誤解されてしまったよ。
原作で梓は毎日泣いて両親に断ってくれと懇願しましたが、両親は黙殺します。
断りたくても蛇塚家へ連絡手段がなく、花嫁を辞めることが家族を見捨てることになるため、梓は両親の命令通りにするしかありませんでした。
梓からすると蛇塚は金を出して命令しかしない、不誠実な求婚者でした。
梓の絶望と怒りは両親ではなく、自分の幸せを壊した蛇塚に向きます。
結局、蛇塚は梓の意思を全然尊重しないで婚約を強行したよね。
本能で理性的に判断できない蛇塚はともかく、蛇塚の両親がダメだよ。
玲夜や瑶太なら実家に身売りさせられたと分かったら、激怒して守ってくれたでしょう。
東吉(にゃん吉)なら諦めず、好きになってくれるまで婚約を待ったでしょう。
しかし蛇塚は自分が酷いことをした自覚もなく、梓の意思を確認しようとしません。
梓が恩人の蛇塚を愛して当然という認識で周囲は梓を責め、蛇塚も梓を庇いませんでした。
孤独な梓
花嫁になることも蛇塚も受け入れられないまま、梓は花嫁学部に進学させられます。
補足すると、梓は自分のように無理やり花嫁にされた子と励ましあえる希望を託していました。
しかし柚子も透子も幸せかつ、好きなあやかしの花嫁になれたと分かり惨めになります。
蛇塚家も大学も梓が無理やり花嫁にされた経緯を知っても、誰も味方になってくれません。
同居先では蛇塚の両親と使用人に責められ、大学では独りで周囲に陰口を叩かれる日々。
そんな矢先、かつて自分が通い詰めていたあやかしと人間の親睦パーティーの話が出ます。
花嫁はあやかしと人間の友好の証としてパーティーの参加を求められることが多いのです。
玲夜に会えると期待した梓は参加し、背後にいる柚子に微笑みかけた玲夜に舞い上がります。
しかし目の前で柚子を溺愛する様子に梓は怒りと嫉妬を爆発させます。
梓も勘違い片想いだけれど、梓への仕打ちを見ると蛇塚も梓と同じだね。
梓も蛇塚も被害者意識が強く、好きな人は自分の物と思い込んでいる所が似ているね。
梓は花嫁学部の教室で柚子を感情的に責めます。
透子や子鬼から厳しい目を向けられ、梓は柚子と比較して惨めになって飛び出します。
原作では何も言わない柚子も、漫画版だと真摯に梓に向き直って反論しています。
梓の初めての味方
梓が柚子に絡んだのは、柚子が皆に愛されて味方がいる恵まれた境遇への嫉妬でした。
相手のあやかし、友人、嫁ぎ先の一族に愛される柚子に対して自分は独りぼっち。
桜子と違って平凡で、容姿も自分に劣る柚子が玲夜の花嫁だと納得できません。
そこに香炉を持った津守幸之助が優しく話しかけてきます。
漫画版では梓を探す蛇塚を浩介が足止めし、嘘をついて蛇塚を追い払います。
礼を言ってあらぬ方向に走っていく蛇塚の後姿を、浩介は冷ややかに見ます。
蛇塚に冷たい目を向けるのは、花嫁を不幸にするあやかしへ嫌悪感があるのかもしれません。
浩介、玲夜でもないのに蛇塚をあんな怖い目で睨むのはどうして!?
嫌がる梓を無理やり花嫁にしているから、花嫁に執着するあやかしが嫌いなんだろうね。
面識のない津守に話しかけられ、自分に協力するというので梓も不審に思います。
しかし津守の言葉と香炉の煙を浴びるうち、梓は津守に従ってしまいます。
この香炉は記憶と精神を曇らせる効果があり、津守の言葉を信じさせるために使っています。
しかし玲夜を好きな気持ち、柚子が花嫁で許せない気持ちは梓が元々持っている感情。
柚子を排除し、梓が玲夜の花嫁になると洗脳された梓は津守の手駒になってしまいます。
狙われる柚子
後日、子鬼がいない女子トイレで柚子は梓に手紙を渡されます。
一人で誰もいない所で読むように念を押し、梓は素っ気なく立ち去ります。
柚子を狙う津守に女子トイレのセキュリティの弱さがバレちゃってる…。
鬼の花嫁を狙う奴がいるわけがないと、玲夜が慢心しちゃってるんだよね。
自室で手紙を読んだ柚子は、手紙通り誰にも相談しないという選択をしてしまいます。
柚子は過去何回も単独行動をして東吉(にゃん吉)に怒られ、使用人たちに迷惑をかけました。
子鬼がいたとしても、玲夜だって仕事中ですぐ駆けつけられない時だってあります。
桜子だって大学で色々と便宜を図ったり、柚子が嫌な目に遭っていたら助けてくれています。
親友の透子や東吉(にゃん吉)に話しにくいなりに、パートナーの玲夜に話してほしいのですが。
柚子は透子に嘘を吐き、一人で指定された場所に来ると梓は車に乗るよう言います。
この時点でスマホを取り出している場合ではなく逃げるべきだと思うのですが…。
柚子は逃げ遅れ、梓に車に連れ込まれてスマホも取り上げられてしまいます。
漫画を確認していただきたいのですが、手駒になった梓は作画も衣装も変わっています。
連れていかれる先は読者なら大体想像はつきそうですよね。
漫画でカットされた部分
漫画版は梓の過去や心情がかなりカットされていたので補足します。
下記の通り、漫画版は原作からかなり違う展開になっています。
高校生の梓が両親に差し出された以上、蛇塚の縁談を自力で断ることは不可能です。
蛇塚が語った梓の婚約経緯と認識のズレがあることが確認できます。
・原作の梓は玲夜にパーティー会場で告白していない
・原作の親睦パーティーでは遠くから見ているだけ
・婚約者の桜子を見て自分が美人という思い上がりを恥じ、桜子に勝てないと諦めた
・諦めても玲夜への想いは捨てきれず、花嫁に選ばれたいとパーティーに参加し続けた
・蛇塚の花嫁に選ばれたのは嬉しくないし迷惑。あくまで玲夜の花嫁になりたい
・花嫁になることを強要され泣いて拒否したが、蛇塚家の連絡先を知らないので断れなかった
・対面した蛇塚が強面と大柄すぎる体格と玲夜に比べて醜く、外見が受け付けない
・蛇塚は同居と進学先の決定が恨まれていると思わず、梓に感謝されていると思い込んでいる
・梓は蛇塚や柚子への暴言を良くないと分かっているが、味方がおらず追い詰められている
・酷い態度を取って蛇塚から婚約破棄されることしか、梓が穏便に実家に帰る方法が無い
・大学は野次馬が面白半分で話しかけてくるだけで、助けてくれたり友達になる人はいない
梓、実家と相手のあやかしに恵まれなかったね。
東吉(にゃん吉)も透子との婚約に数か月かかったし、やりようはもっとあったのにね。
あやかしは花嫁を一目見た時から溺愛しますが、花嫁からするとストーカーのようなもの。
梓に愛されるためには玲夜のように顔だけで愛されるほど美形になるか。
東吉(にゃん吉)のように高いコミュニケーション能力と粘り強さで、愛してもらえるよう時間をかけてアプローチするか。
瑶太のように花嫁の願いを何でも叶え、資金援助の弱みでプライドを傷つけないよう、お姫様のように大事に扱うか。
蛇塚は梓が自分に用意された専用の女として、人形のように命令ばかりして嫌われました。
正直な所、梓でなくても蛇塚の花嫁に選ばれた女性は嫌うようになったと思います。
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