『鬼の花嫁』第二部および原作二巻に登場する悪役、津守幸之助。
浩介と梓を操り、玲夜への私怨で柚子を誘拐した黒幕でもあります。
彼の結末を原作小説を交えて解説していきます。
津守の優越感は呆気なく終わる
柚子を誘拐し、33話で浩介も排除した津守は勝利を確信。
しかし津守の屋敷が沢山の鬼に包囲され、呆気なく余裕は消えてしまいます。
まろとみるくが32話で子鬼を玲夜の元へ運び、子鬼経由で津守と特定されたためです。
そして鬼龍院当主の千夜から津守と部下の陰陽師への攻撃許可が下ります。
子鬼相手に強かった陰陽師ですが、戦い始めると鬼に一方的に負けます。
津守がライバル視していたのが恥ずかしいくらいの戦力差だね。
自分が優れていると思い上がっていたのは花梨や梓と同じだね。
鬼の攻撃とすぐに倒される部下を目の当たりにし、津守は柚子の所へ向かいます。
玲夜に目撃される前に柚子の記憶を術で消そうとしますが無駄な足掻きでした。
既に津守は現当主(父親)に見捨てられ、主犯として罰が待っていたのです。
津守VS玲夜
津守は玲夜の眼の前で逃げようとした柚子を捕え、刃物を突きつけ人質にとります。
柚子を心配して表情を変える玲夜に、津守は嬉しそうに嘲笑します。
しかし津守の歪んだ対抗心と鬱憤を聞かされると、玲夜は呆れて一蹴。
玲夜に再び無関心な目と表情を向けられ、津守は癇癪を起こします。
柚子は護身術を使って津守の腕から抜け出し、玲夜の所に戻ってしまいます。
柚子も護身術を完璧にできるなら報連相をちゃんとできるようになって!
いや、柚子は今後もずっと報連相せず勝手に単独行動しちゃうよ。
柚子が逃げて最後の保険を失った津守は、ナイフで玲夜に切りかかります。
津守は遠隔操作の炎が出せる玲夜に燃やされ、蹴られてあっさり戦闘不能。
漫画版では原作の戦闘内容が変更されるかもしれませんが……。
花嫁誘拐の罰を下される
津守への罰は津守家当主(父親)から破門・次期当主から降ろされ、津守家から追放。
鬼龍院の花嫁誘拐の罰として甘いと玲夜は渋りますが、千夜が承諾させます。
あやかしと人間の友好関係を壊しかねない鬼の花嫁の誘拐は表沙汰にできません。
表沙汰にしない以上、陰陽師の次期当主である津守の罰は軽めになります。
それなら梓への罰も軽くなったの?
梓は花嫁を降ろして実家の資金援助を切る罰になったよ。元々不仲だったし、梓が無理やり花嫁にされた話も有名で不自然に思われなかったみたい。
管理人も柚子の将来を考えると隠蔽することになって良かったと感じます。
一般的に婚約中の女性が誘拐・監禁されたと知られたら名誉を汚されるでしょう。
しかも誘拐犯は柚子に告白した浩介ですから、誘拐先で何かされたのではと憶測も飛び交ったに違いありません。
玲夜が渋々甘い罰を承諾したのは、柚子の今後の生活を守るためもあったのだと思います。
津守はその話題を最後に一切登場しません。
津守の長所:花嫁の心に寄り添える稀有な人間
津守は悪役ですが、花嫁の正しい知識を持つ稀有な人間です。
梓を利用するためとはいえ、唯一梓に優しい言葉をかけて味方に引き入れました。
玲夜と千夜ですらよく知らない、鬼龍院の歴代花嫁が不幸になった話。
柚子と透子ですら知らない、無理やり花嫁にされた梓のような事例。
上記を正確に把握し、人間が夢見る花嫁の陰惨な現実も知っています。
玲夜がパーティー嫌いなのってファンの女性以外にも理由があったもんね。
うん、束縛と執着に疲れた花嫁があやかしを嫌う光景を沢山見せられたり、柚子も同じように自分を嫌ってしまうのではと不安になるからだよ。
玲夜は柚子から蛇塚と梓の話を聞いた時、不仲なあやかしと花嫁のカップルがいるのは珍しいことではないと柚子に言いました。
あやかしに愛されても梓のように花嫁が望まなかったり、人間と結婚していたり婚約中や恋人がいる花嫁ですら、あやかしが無理やり別れさせて花嫁を強引に手に入れてしまいます。
梓は不幸な花嫁であり、津守も浩介も梓に同情を示しました。
浩介が花嫁は不幸になると主張したのも梓を見たら無理も無かったと思います。
余談:一年我慢すればもっと暗躍できた?(第三部ネタバレ有り)
中途半端に蛇塚と梓に介入し、結果的に二人を破局させた柚子と透子。
玲夜と東吉(にゃん吉)を慕って花嫁に成り変わろうとし、あやかしに匹敵する権力で柚子と透子に圧力をかけてくる人間女性たちが第三部で登場します。
しかも第三部は柚子が進級して瑶太や花梨の友人が入学し、花梨の友人たちが悪質な噂を流して柚子をさらに追い詰めます。
理想的なカップルと人気のあった花梨と瑶太を別れさせた元凶として、玲夜ファンの女子だけでなく男子生徒までが柚子を嫌悪するようになり、大学で常に柚子の陰口が聞こえるほど。
色々と最悪なタイミングが重なって柚子が追い詰められるんだよね……
津守が動きやすい環境な上、梓も自分より玲夜に相応しい人間女性が出てきて柚子への敵意や劣等感がマシになっただろうから本当惜しいんだよね。
悪質な噂に加えて玲夜が鬼龍院家に匹敵する名家の令嬢とお見合いをした、柚子は花嫁として用済みという話まで耳にし、柚子は透子の前で号泣して花嫁を辞めると玲夜に言うほど追い詰められます。
この段階で浩介が柚子に告白して守ると宣言していたら、本当に浩介と柚子が深い仲になった可能性もありえます。
津守がこの時まで機を伺っていたらさらに暗躍することも可能だったでしょう。
中流家庭出身で容姿も成績も平凡な柚子と透子はやっかまれるには十分すぎます。
津守が事件を起こさなければ梓も花嫁学部に留められたでしょうし、ひょっとしたら同情してくれる友人が出来て原作より良い展開に行けたかもしれません。
柚子と透子を追い詰めるために梓はまた利用されるかもしれませんが、花梨のように美人で報われない花嫁として苦しみが周囲に理解してもらえたかもしれません。
蛇塚家の酷い待遇が明るみになって蛇塚も梓に嫌われる理由を知って反省し、二人が本当に両想いになれたかもしれません。
津守は場合によってはとても良い悪役になれたと思うのですが、再登場は厳しそうですね。
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