『鬼の花嫁』第二部および原作2巻で登場した二匹の猫、まろとみるく。
猫の専門家である東吉(にゃん吉)、鬼の玲夜ですら普通の猫ではないと察する猫たちの正体について、原作小説を交えて解説していきます。
あやかしでも普通の猫でもない
猫たちは「霊獣」と呼ばれる、あやかしより高位の存在です。
あやかしより神に近く、神が作った使役獣のようなもの。
猫は会話できませんが、人間の言葉を全部理解しています。
柚子が落ち込んだ時、話しかけた時に反応したのは言葉を全部理解した上です。
猫の専門家である東吉(にゃん吉)、透子、鬼の使用人を拒否したのは、柚子しか飼い主と認めていなかったのです。
霊獣は神が加護を与える「神子」と呼ばれる人間が使役できます。
柚子の前世はまろとみるくを飼っていた「神子」でした。
そして柚子自身が神子の血を祖母経由で引いて適性があったのです。
神子として覚醒した柚子を神が発見し、猫を柚子へ遣わしたのです。
なんで柚子が大学に進学するまで現れなかったの?
柚子が玲夜の高い霊力を浴び続けて神子の力に覚醒したからで、神はそれまで柚子に転生したことを感知できなかったらしいよ。
祖母が柚子に似ている作画なのは上記が関係していると考えられます。
柚子の容姿は恐らく一龍斎サクに酷似しています。
神はサクを「心が美しい」と称しており、容姿は美人ではないようです。
神が猫を遣わした理由
神が作った霊獣は二体の猫の他、一体の龍がいます。
柚子の前世・一龍斎サクは元々は龍を与えられていました。
この龍は戦闘力だけでなく、運と天候を操作できるのです。
サクの龍は実家の一龍斎家に莫大な富をもたらしました。
しかしサクが鬼の花嫁になって嫁ぐと、一龍斎家は加護を失います。
現代ならともかく幸運で当時儲かったの?
米がお金になっていた時代は天候操作で良質な米や野菜を沢山作れただろうし、商才が無くても商売やったら幸運で荒稼ぎできたみたいだよ。
後の悲劇に関しては一龍斎家もですが、神も悪いです。
一龍斎家が代々神子を務めるのに、嫁いだサクが龍を手放さないのはどうなのでしょう。
一龍斎家は祖先が神と人の子で、神子を務められたのは神の血を引くからです。
神子の役割を一龍斎家の新たな神子に移せばこの後の悲劇は防げたはずです。
龍を失って傾き始めた一龍斎は焦り、サクを無理やり連れ戻します。
人間があやかしより強い時代で、一龍斎家の総攻撃から守れなかったのです。
龍を取り上げられたサクは、次代の神子を産む母体にされます。
サクは親族の男に無理やり妊娠させられ、女児を出産します。
さらに龍をサク以外の一族が使えるよう、契約を書き換えられます。
サクから次代の神子となる女児(サクの娘)に継承させるためでした。
龍は以後、一龍斎家の金儲けと都合の良い戦力として利用されてしまいます。
そして神の契約に反した罰や呪いは全部サクが引き受けさせられたのです。
現代で龍を使った戦闘は一龍斎家の仕業ってバレない?
恐ろしいことに龍を使っての攻撃は、幸運操作によって急にトラックが突っ込んでくる、窓ガラスが強風で割れて被害者に重傷を負わせる不運な事故を引き起こすから証拠が残らないんだよ。
神はサクへの蛮行に激怒し、一龍斎家をサク以外滅ぼそうとします。
しかしサクは望まない出産とはいえ自分の娘を含む、加担していない小さい子供や赤ん坊まで巻き込んで滅ぼすことに反対しました。
サクは産後の体で呪いや罰を引き受けさせられ、鬼に奪還されるも衰弱しており手遅れでした。
神も0か100かって極端なことしかできないのはどうなの?
ただしサクが止めなければ、一龍斎家の傍流の祖母が生まれず、孫となる柚子も花梨も産まれてこなかったよ。
神は神罰によるサクの救助を諦め、囚われのサクの慰めとして霊獣を送ります。
それが二匹の猫で、現代でまろとみるくと名付けられた存在です。
まろとみるくはサクが夭逝する直前に鬼に救出され、夫と子に看取られるのを見届けて姿を消しました。
補足:花嫁をめぐる鬼VS天狗の歴史
柚子の前世は一龍斎サクという、一龍斎家の神子。
鬼龍院家初代当主&天狗の本家・烏羽家当主の花嫁でもあります。
サクは鬼の当主と恋に落ち、天狗の当主は潔く身を引きます。
天狗の当主は二人を祝福し、サクは円満に結婚できました。
花嫁に執着する本能に打ち勝って二人を祝福し、本能に苦しむ天狗の烏羽家当主を哀れみ、神はあやかしの本能を消す「神器」を作って烏羽家当主に下賜しました。
花嫁の幸せを優先する天狗の健気さに心を打たれての褒美である一方、鬼に嫁いだサクが苦しむなら鬼の本能を消して助け出すようにという密命も込められていました。
しかしその密命もサクが出産後に実家の一龍斎家に誘拐され、非業の死を遂げて頓挫します。
神が花嫁にも本能を与えれば、同じ熱量で愛し合えるから花嫁も苦しまないはずなのにね…。
花嫁に本能が無いのは神がサクを溺愛するあまり花嫁に本能持たせなかったのが元凶だから、蛇塚と梓は怒っていい。
天狗の当主は神器を保管し、愛するサクの死で鬼の当主を激しく恨みます。
現代で鬼と天狗が不仲だとあやかし学で教わるのは、花嫁を巡る禍根が現代まで続いているため。
しかも鬼はその悲劇を忘れており、天狗だけが覚えている状態なので非常にまずいです。
天狗は未だ人前に姿を現さず、一族全体が隠れ里で生きています。
上記は今後の非常に大事な伏線となりますので、覚えておいてください。
一人の花嫁を二人のあやかしに取り合いさせるって酷すぎない?
だけど梓が別の素敵なあやかしの花嫁になれる希望も見えるし、その方が蛇塚も天狗のように自分より幸せにしてくれるって諦めもつくんじゃないかと思えるよ。
補足:神の血を引く人間・一龍斎家
あやかしですら会えない神と対話し、加護を授かっていた一龍斎サク。
彼女がそもそも神子になったのも、一龍斎家が強力な人間だったからです。
祖先が神と人間の子であるため強力な霊力と加護を授かっており、鬼龍院家ですら勝てないほどの戦力を有していました。
サクが霊獣でも高い戦闘力と幸運をもたらす「龍」を授かって一龍斎家は無敵状態でした。
鬼龍院家と拮抗できるくらい今も権力と資産が高いんだっけ?
上述の幸運を授ける龍を現代でも使役しているから、株価やギャンブルや天候を好きに操作してチートみたいな金の稼ぎ方をしているよ。
鬼龍院家はあやかしと人間の友好の証として「鬼龍院」の姓を名乗った際、花嫁の実家である一龍斎家から「龍」の字を貰ったのです。
そして一龍斎家の神子は花嫁でなくてもあやかしと結婚できるのです。
鬼龍院家の直径子孫は当主とサクの子が先祖にあたるため、一龍斎家とも血が繋がっています。
そして両家は未だに拮抗するあやかしVS人間の頂点でもあるのでした。
第三部(原作3巻ネタバレ)予告
第三部では龍の所有者である当代の神子・一龍斎ミコトが登場します。
彼女はあやかしの頂点であり、美しい玲夜を気に入ってしまいます。
上記の「一龍斎家の神子は鬼の花嫁になれる」ルールを持ち出し、柚子を花嫁からおろして自分を花嫁にするように圧力をかけるという衝撃の展開に。
一龍斎家の圧力は鬼龍院家ですら断り切れず、玲夜はミコトとお見合いをさせられます。
花嫁がいるのに当主の千夜が縁談断れないってヤバくない?
当主の千夜は一龍斎家の神子が花嫁になれるルールを知っていたから、普通の人間女性と違って花嫁になれないって断り方ができないんだよ。
玲夜と父親の千夜は花嫁が見つかっているため、両家の面子を潰さないよう見合いはしたが受ける気は無いと断ります。
しかしミコトも一龍斎家当主も納得せず、ミコトは大学で柚子に危害を加えます。
上記の事情は柚子に伏せられていたため、柚子は大学でミコトから悪意のある歪められた言葉で暴露されてしまいます。
- 当主の千夜も了承して玲夜とお見合いした(断られたのは黙っている)
- 今度玲夜とデートをする(柚子へ危害を加えると脅迫したため)
- 一龍斎家の女は鬼の花嫁になれるから柚子は用済み(鬼は承諾していない)
- 出産能力が自分にもあるなら、柚子が玲夜の役に立てることは無い
- 一龍斎家直系の自分と結婚した方が鬼龍院家に利益をもたらせる
柚子の劣等感を抉る言葉に、柚子はすっかり打ちのめされます。
ミコトは人間版の鬼龍院家のような権力者のため、柚子がミコトに暴力を振るわれ暴言を吐かれても、教職員を含む誰も柚子への危害を止めません。
止めに入ってミコトを論破した桜子は龍によって重傷を負わされ救急搬送。
透子は柚子を庇って言い返したことで猫又の一族ごと滅ぼされそうになってしまいます。
しかも大型トラックを透子にぶつけさせるという暴力を早速用いたことで、柚子と透子も鬼龍院家で保護されるほど事態は悪化していきます。
透子のフォローも空しく、柚子は街中でミコトとホテルに入る玲夜を目撃します。
玲夜が事前に全部柚子に教えてあげていればよかったんじゃない?
さすがに柚子も泣いて玲夜に「花嫁辞める」って激怒したよ。
ホテルの件は管理人も玲夜の言い分に呆れました。
柚子に黙ってデートしている時点で柚子を裏切っていることに変わりません。
もし断り切れないなら隠さずちゃんと言うべきでしたよね。
実際にミコトは毎日勝ち誇って柚子に「玲夜とデートをした」と自慢し、何も知らない柚子は玲夜と話をしようとしても避けられるという最悪のすれ違いになってしまいます。
しかもこの時、花梨の同級生から『柚子は妹の花梨を妬んで鬼龍院家の権力で花嫁から無理やり降ろした性格の悪い花嫁』って噂を流されて孤立していた時だよね…
噂に便乗して男子も一緒になって柚子に聞こえるよう悪口を言ったし、噂だからと何も言わなかったり庇ってくれた人は友人と鬼以外は殆どいなかったよ。
噂ですり減ったメンタルに玲夜の花嫁でなくなる不安と恐怖、素っ気ない玲夜の態度と全体的に柚子が追い詰められる展開になっています。
上記の通りイジメ描写や流血を伴う暴力表現があったりハードな展開となります。
管理人も再登場する更生した瑶太、瑶太が更生していく回想くらいしか楽しみが無いなと読むのを躊躇っています。
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